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2007年12月24日 (月)

医療事故調 / オーストラリアの場合

オーストラリアの医療事故調査の例を挙げます。

もともと英国連邦の国ですから、制度上も似たものがあります。イギリス、オーストラリアとも、解剖を含めて広く正確に死因調査を行うための、法医学の医師数、設備、制度が確立されています。

そして大切なこと、死因調査は処罰を目的としない、医療関連死に刑事訴追はない、ということです。

以下、参照

民医連新聞 2007.11.19 1416 号

第三者機関
医療事故の再発防止・患者救済もとめて(5)
全日本民医連第三者機関プロジェクト

オーストラリア視察から(1)

最先端の死因究明制度があるというオーストラリア・ビクトリア州(州都メルボルン)を視察しました(〇七年三月四~一〇日)。

同州には、イギリスのコロナー制度(既報)を土台にしたユニークなシステムがあります。その中心はビクトリア法医学研究所(VIFM)です。

人口約四八〇万人の同州。年間死亡者数約三万人のうち一〇~一五%、約五〇〇〇件が異状死としてコロナーに届け出され、その八割約三〇〇〇件がVIFMで解剖されます。

医療関連死は年間約一五〇〇件発生し、七~八割が解剖されるなど驚異的です。八体の解剖が同時にできる設備とスタッフを有し、全遺体の全身CTを撮ります。法医学と臨床医学の力で「死」を分析しています。

コロナーは医療上の知識を十分に持っているわけではなく、その弱点を補うためVIFMの中に「臨床連絡サービス」(CLS)がつくられました。医療関連死の死因究明のため、コロナーや医師、看護師らのチームが医学的検討をします。そして病院に対し、事故予防やシステム改善の提言をフィードバックします。これは司法、医療双方の側から支持され成功しています。

CLSが扱う年約五〇〇件のうち、最終的にコロナー法廷に回るのは五〇件程度です。これらは再発予防の提言に役立てます。
 
コロナー制度の目的は、あくまで死因究明と再発防止なので、個人の過失の有無を判断したり、責任追及は原則としてしません。「真実が明らかになれば、責任も自(おの)ずと明らかとなる」という考えが貫かれています。第三者機関をつくる上では、その理念こそ最も重視すべきだと思います。

民医連新聞 2007.12.3 1417 号

第三者機関
医療事故の再発防止・患者救済もとめて(6)
全日本民医連第三者機関プロジェクト

オーストラリア視察から(2)

オーストラリア・ビクトリア州では、死因究明の機構、裁判外紛争処理、医師の免許登録を行う機関が整備され連携しています。

コロナー制度をささえる制度には、既報のCLSのほか「国立コロナー情報システム(NCIS)」があります。これは全州と契約し、全国のコロナー情報を集積するシステムです。

二〇〇〇年七月に発足し、現在までに約一二万件が登録され、毎年二万件の情報が集められます。コロナーで取り扱う事故死、自殺、中毒死、労災死、溺死、医療関連死など、すべての死因情報が集積されます。

この情報にはIDとパスワードの取得を許可された者だけがアクセス、利用できます。報道関係者は許可されません。データベースには、死因・医療情報ほか解剖の情報、コロナーの結論、提言なども登録されています。インターネットから同様のケースを検索し、教訓を学ぶこともできます。

「ヘルスサービス・コミッショナー」(HSC)は、医療に対する苦情の受付と、調停など裁判外紛争処理(ADR)の役割を担う機関です。HSCに寄せられた苦情のうち調停で解決できず訴訟になった例は、一八年間で一~二件です。ほとんど解決しています。

苦情は医師免許の登録・更新・処分を行う「医師免許登録委員会」(MBP)にも年間約五〇〇件が寄せられ、HSCと情報交換して対応しています。MBPのモットーは「患者を守り、医師をガイドする」でした。

「同州では今まで医療関連死に業務上過失致死罪が適用された判例はない」という話が印象的でした。


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